職種研究

製薬会社の生産技術職とは?仕事内容を徹底解説!

生産技術職は工場に所属する技術職ですが、大学生には少しイメージしづらい職種かもしれません。理由としては、製剤製造の研究をしている大学が少ないことや、「スケールアップ」や「有機化学」のイメージが先行していることが挙げられます。製薬会社の生産技術職は、工場での試作を通じ、製造オペレーターが作業できるような作業書を作り上げる職種で、医薬品の安定供給を支える重要な職種です。本記事では製薬会社の生産技術職について解説します。

生産技術職の仕事内容

医薬品業界での生産技術職は大きく二つに分けることができます。一つは原薬を含めた原料メーカーの生産技術職、もう一方は、製剤の生産技術職です。原料メーカーの生産技術職は化合物を製造することから、有機化学の知識が必要となります。一方、製剤の生産技術職は製剤を製造することから有機化学の知識は不要です。製剤の製造に関する知識を持っている学生は少ないことから、この点を就職活動で問われることは少ないです。

生産技術職が仕事をする上で重要になるのが「バリデーション」です。バリデーションは英語でvalidation、直訳すると検証であり、目的とする品質に適合する医薬品を恒常的に製造できることを証明する作業を指します。既存の製造方法からの一部変更や新規での製造立ち上げどちらの場合もこの「バリデーション」を実施してから商用生産に進みます。

生産技術職の仕事はどのオペレーターが作業しても目的の品質を得られるように、作業書を作成することです。すなわち、どの業務であっても「バリデーション」を通して、各工程のパラメータを決定し、作業書に落とし込みます。そのため、生産技術=「バリデーション」と考えても良いくらいです。

生産技術の業務

新製品の工業化検討

試作やバリデーションを通して、最終製品の規格を満たす製造工程を検証し、実証する業務です。

  • 新製品の工業化検討
  • 他工場からの既存製品移管
  • スケールアップや生産トラブル改善

設備・技術導入関連業務

古くなった工場の機械や新製品の製造に向けた新規設備の導入をサポートします。新規設備の導入は、他製品への影響や導入時のクオリフィケーションを含め、多くの部署に協力を求める必要があります。

  • 設備改良・導入検討

治験薬製造

治験薬は商用品と異なり、開発段階で試験的に使用される医薬品のため、治験薬GMPという組織で製造・出荷することが可能です。生産技術職は、治験薬を開発した製剤研究職と協力し、既存設備での治験薬製造プロセスを検討し、試作・製造を行います。

  • 製造記録や手順書の作成
  • バリデーション、出荷判定支援

生産技術職の先輩社員によるインタビュー記事

生産技術職のキャリアパス

初期キャリア(新卒~5年目程度)

治験薬製造や工業化検討の一部担当者として、業務を行います。業務を通して、製造工程の基礎習得し、GMP・バリデーション・製造記録を理解します。

身につくなスキル

  • 製造プロセスの基礎理解
  • GMP・治験薬GMP・品質システムの知識

中堅キャリア(5~10年程度)

プロジェクトを統括する立場となり、技術移管やスケールアップなどの業務を対応します。また、受託品を扱う場合は、取引先との窓口となります。

身につくなスキル

  • 部門横断でのプロジェクト推進力
  • グローバルでの規制の理解(PIC/S、ICHなど)
  • コスト意識

シニアキャリア(10年~)

生産技術の統括や工場長として工場全体のマネジメントをおこないます。設備投資・DX・自動化などの工場の運営方針策定するなど、工場の将来を見据えた運営を行います。

求められる能力

  • マネジメント力・意思決定力
  • 薬事・品質保証・生産管理との連携力
  • 部下育成・技術伝承

まとめ

生産技術職は工場での試作を担当する職種であり、バリデーション業務が主な役割です

かつては有機化学系の研究室出身者が強いとされていましたが、バイオ医薬品の登場や原薬工場を保有しない製薬会社の増加により、現在は特定の分野出身者が有利という傾向はありません。

また、生産技術職は実際に医薬品製造の現場に立ち会うため、経験を積みやすい職種です。キャリアとして、薬事部門や品質部門に加え、製造所を管理するサブライチェーン関連の部門も目指すことが可能です。

生産技術職はどの分野の研究室からも目指すことが可能なため、志望企業がバイオ系・原薬系・製剤系どの生産技術職を求めてるかしっかり調べましょう求めている学生像とマッチさせることで合格の確率を上げることができます。

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