職種研究

製薬会社の品質管理職とは?仕事内容を徹底解説!

品質管理職はクスリの出荷試験など医薬品の品質を担保するための試験を担当している職種です。皆さんが服用するクスリの全てが品質管理職によって試験されています。本記事では、製薬会社の品質管理職について解説します。

品質管理職の仕事内容

「毒と薬は紙一重」といわれるように同じ物質でも「毒」にも「薬」にもなります。そのため、医薬品は定められた試験を実施することで「薬」として担保されます。この「薬」としての担保データを品質管理職が取得します

例えば、経口固形製剤には定量法、純度試験、溶出性といった試験が設定されます。各医薬品の特徴にあった試験が設定されているため、それぞれの医薬品で試験内容は異なります。品質管理職は実際の医薬品分析を経験することで、書類には記載されていない分析機器の扱い方や溶液の様子を学ぶことができます。そのため、品質管理職での実務経験はキャリア形成に大きく役立ちます。

経口固形製剤の試験例

性状:形状や色の確認をおこなう。
定量法:有効成分が表示量含まれているかを確認する。
純度試験:有機・無機不純物(分解生成物)及び残留溶媒が規格に収まっているかを確認する
溶出性:溶出試験は生体内での溶出挙動を模しているため、臨床試験の時と同じ溶出挙動であるかを確認する。
投与単位の均一性:大きなスケールで製造された医薬品が均一となっているかを確認する。

品質管理職の業務

品質管理職は分析業務を通じて医薬品として品質を担保する役割を果たします。具体的な業務は以下の通りです。

品質試験(受入試験、工程試験、出荷試験、安定性試験)

サンプリングされた原材料や中間品や医薬品を試験し、品質に問題ないか確認する業務を指します。ルーチン業務ではありますが、医薬品の品質に直結する点や将来的なキャアリ(品質管理職、薬事職など)を考えると重要な業務です

  • HPLC、GC、UVなどの機器を使用した理化学試験
  • 微生物限度試験、無菌試験

文書関連業務

品質管理職は品質試験業務がメインですが、品質試験業務を滞りなく実施できるように作業環境を整える業務もあります。

  • SOP、試験手順書、GMP文書の作成・改訂
  • 試験記録、試験成績書、報告書の作成・確認
  • 試験計画の立案・進捗管理

分析機器・試薬・消耗品管理

日々の試験に使用する試薬や分析機器のメンテナンスも重要な業務であり、分担して対応します。

  • 分析機器の定期点検、メンテナンス
  • 試薬・消耗品の管理

GMP対応・監査対応

当局や委託元から適切な品質試験が実施されているかの監査を受ける機会もあるため、それらの対応も必要です。

  • GMPに基づいた品質管理(教育・研修の実施)
  • 規制当局や顧客監査への対応

品質管理職の先輩社員によるインタビュー記事

品質管理職で働いている先輩社員のインタビュー記事を紹介します。先輩社員のインタビュー記事を基に実際の業務イメージに役立ててください。

品質管理職のキャリアパス

初期キャリア(新卒~5年目程度)

基本的な品質試験の実務を担当し、HPLC・GC・UVなど分析機器の操作習得し、試験記録や試験成績書の作成、SOPに基づいた実務遂行、GMP教育や基本的な文書管理業務を経験します。

必要なスキル

  • GMP・薬機法・品質管理の基礎知識
  • 試験業務の精度・正確性・迅速性
  • 品質保証(QA)や研究開発(R&D)など他部門との違いを理解

中堅キャリア(5~10年程度)

分析試験法の技術移管やバリデーションを通して高度な業務を担当する。また、若手の育成・教育、試験計画の立案や顧客監査・当局査察への対応を通じて部門や会社を超えたコミュニケーションを経験します。

必要なスキル

  • “プレイヤー”から“リーダー”への転換期
  • 技術面+マネジメント面をバランスよく経験
  • 品質保証部門や開発部門との連携

シニアキャリア(10年~)

管理職として、スケジュール・人員管理、教育計画の策定や部署内の業務最適化・効率化・組織マネジメントを実施。また、経営層やQA部門と連携し、全社的な品質保証体制に関わる。

必要なスキル

  • 部門責任者や品質統括マネージャーとして組織を牽引
  • 工場全体の品質責任者(QC統括部長や工場長)

その他のキャリアパス

品質管理職の経験を活かして、以下のようなキャリアを選択することも可能です。

  • 品質保証:GMP生産の責任者やGQP組織の責任者
  • 薬事(CMC薬事):承認申請に必要なデータの作成・照会対応

まとめ

品質管理職は製薬会社の中では募集人数が多い職種です。工場勤務なので勤務先は地方になることが多いですが、実務経験を積める職種として、おすすめな職種です。

分析試験をするため、文系の方には難しいかもしれませんが、理系で実験経験があればハードルは高くないでしょう

また、人手が足りず、派遣社員で賄っている会社もあります。残業が多くなることも多く、ワークライフバランスを重視する人には厳しい環境かもしれません。一方、地方勤務で残業が多くなるので比較的お金は貯まりやすいです

業務内容は試験業務がメインの仕事ですので、実務経験はすぐにつきます。早くて2-3年、5年もあればステップアップとして、品質保証職に転職することも可能です。品質保証職は別の記事で解説してるので参考にしてください。

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